零壱.語り継がれなかった物語

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「姫様、どうして…」 「仕方の…ないこと…。私の母は…死んだし……ただの更衣…。母親がお父様の正室である…彰子姉様には敵わない…」 「……それでも!」 そんなことで縛られなくてはいけないのか? こんなにも優秀な雨雫姫を。 たかが後ろ盾一つで…。 「龍虎…怒らないで?私には…龍虎、貴方がいるから……」 「姫様…」 額と額を合わせて幸せそうに笑う雨雫。 この人を俺の一生をかけて護り続けようと、このとき密かに誓った。
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