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俺が魔竜の巣…火の山の頂上に辿り着くまで、そう時間はかからなかった――――。
道中に構えるカス共など、相手にもならなかった。
「ふん…つまらんな。」
頂上に辿り着いた俺は、其処から麓の村をゆっくりと眺める。
まるで、そこから見える全ての光景が自分の物になったかのような錯覚を覚えて。
(俺は誰よりも強くなって、その力でこの世界中のカス共をひざまずかせてやる…!)
焼けつくような炎を背にした俺はしばし、自らの夢を再確認し…陶酔する。
そしてその直後…俺は暑さとはまた違う…ハッキリとした殺気を感じ取った。
(…人間が、私に何の用だ?)
振り向くと同時に「ずしん…」と重い音が響き、〝奴〟は姿を現す。
「…知れた事だ。さぁ、ファフニールよ!!俺と戦え…!!!!」
(愚かな…!!!!)
言うが早いか、俺は背中に下げてある両手剣を引き抜き、〝奴〟の腹に突き立ててやった。
…だが、〝奴〟の固い殻の前に剣はあっさりと折れてしまう。
(効かぬな…?)
「…折れたか。」
〝奴〟…ファフニールはなおもピンピンとした様子で俺を威嚇してくる…――。
張り裂けそうな程の殺気に、俺は生まれて初めての恐怖を感じた。
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