「覇王」

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  「喰らうがいい…!」   俺は動きの鈍くなった奴の眼球に腰に差していた短剣を投げつけ、突き立てた。 …折れたドラゴン・スレイヤーの一部を加工して作られた短剣を、だ。 (ギャアアアアアアアアア…!!貴様!!何をしたっ!?) 刃の部分には、竜族が嫌う呪文の文句がびっしりと刷り込まれてあったからか…十分に効果はあった。 そうして俺は、奴が怯んでいる隙に呪文の詠唱を始めた。 「ラ・ビュルセプル…ア・イルネー・シュ・サイス…――!!」 ブランディッシュ!! 詠唱が終わると同時に空間が歪み…中から現れた一振りの太古の剣…〝ブランディッシュ〟が俺の目の前のデカブツを容赦なく切り刻む…。 ―そして。 グォオォオォオォオォオォオーーッ!! 最後の断末魔をあげたきり、奴は動かなくなった。
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