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「は? ちょ、ちょっと待ってよ。じゃあやっていいの?」
『だから、自分で決めて。僕は忙しい。今日だって、30分しか寝てないんだ。決まったら連絡ちょうだい。やるなら時間は空けるから』
「千秋!? そんな無責任な――切れたよ」
ツーツーという電子音が、突き放すように流れた。電源ボタンを押してもう一度かけ直してもいいが、止めておく。どうせ出やしない。
いいさ。僕だってもう子供じゃない。自分のことは自分で決める。
事務所が傾くからどうだって言うんだ。春に辞める僕には関係ない。
床に転がってる啓介を持ち上げて、頬を叩く。
「起きろ。啓介」
「お、おお? なんだ、駿一か。今さっきまで、死んだじいちゃんとしゃべっていたのに」
「助けてやった僕に感謝しろ。それで、練習はいつだ?」
「練習って、なんの練習?」
「馬鹿。文化祭ライブに決まってるだろ」
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