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くるくる流れるは
悲しい花
献花
「う…寝れん…」
三成は夜も更けた頃、一人布団から起き上がる。
長引いた戦もやっと終わり、今日の朝に城に帰り着いた。
だから久しぶりの布団だと言うのに。
襖を少し開け、空に浮かぶ月を見る。
パシャ…
誰もが寝ているであろうこの夜更けに水の音がした。
池の鯉が跳ねたのだろうか?
普段なら気にしない音だが気になって、気になって。
冷え込む夜風に羽織も持たずに外に出た。
吐く息は白く。履いた雪駄は冷たい。
でも何故だ。
今は、行かなくてはいけない気がする。
庭に流れる長い池。
池の水に沿いながら 三成は音のする方に歩いて行く。
その池の中に浮かぶのは綺麗な花たち。
「花…?こんなにも沢山…」
視線を池から上げれば、そこに人影。
「 三成…殿?」
「幸村か?」
月が雲間に隠れ、顔は良くは見えないが、その声は幸村のもの。
「このような時間にどうなされたのです?」
「幸村こそ、なにをしている」
不思議そうな顔をしながら幸村に近付く 三成。
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