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環の言葉に、二人は感心した。
姉と――二人は環の言う『お姉ちゃん』の正体を知らない――仲直りしたくて、姉の好きな花を摘んでいたとは、何と素直で優しい子なのだろうかと。
「姉君、きっと喜んでくれますよ。」
幸村がそう言うと、環はぱぁっと明るい笑顔になってまた花を摘んでいく。
やがて環の両手が花でいっぱいになり、環はすくっと立ち上がった。
「お姉ちゃんに、謝ってくる!」
「そうか! 安心しろ、環! その義の姿勢で臨めば、必ず姉も許してくれよう!」
「大丈夫、きっと姉君と仲直り出来ますよ。」
二人に励まされ、環は笑顔で三成の元へとことこと駆けていった。
「お姉ちゃんっ!」
三成の部屋へ行くと、思っていた通り、三成と左近がいた。
左近は環に気付き、環においでと手招きする。
「ちょうど今、環を迎えに行こうと思ってたんだ。どうした、環?」
「あ……あのね、あのね……」
気まずいのか、もじもじとしていた環だったが、勇気を振り絞って三成の元へと近寄っていく。
そして、ずいっと小さな花束を三成に差し出して環は謝った。
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