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ふいに名を呼ばれる、優しい幸村の声だ。
あぁ、助かった、そういえば俺は何に怯えていたのだろうか、
今は何刻なのだろう。
もう一度、優しい声が俺を誘う
愛しい者を呼ぶ甘い声色は、
かつて一度も聞いたことのない
優美な吐息で、しかし俺の口は残念な事に動かなかった。
寒かったひどく寒かった
先ほどまで唱えていた呪文の形を作ることすらできず、俺の吐いた息は白く凍えるだけであった。
「あぁ、残念だあなたもまだ」
幸村はそう言って俺の背後から
去ってしまった。
振り返り見るも、そこには彼の足跡も残っていない。
愚かな俺は気づいた
幸村は今、遠征の身ではないか
『誰ソ彼』
(あぁ、残念だ。あなたもまだ此方には来たくはないと言う)
+++サンゲ+++
黄昏時の話。
名前を呼ばれても返事をしてはいけない。
どこが幸三っというツッコミはなしで・・・(逃
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