第1章 奇妙な共同生活

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「だって…」 「なんだよ…?」 「ボクの学校に君と同じくらいの身長の人いるもん。それに…子供っぽいじゃない!」 確かに俺の身長は中学生の時の170センチからのびていないが… 身長約145センチで、自分の事を大人と言っているような奴に言われたくない台詞だった。 俺はつい頭にきてしまい大人気なく、女の子を怒鳴るように大声を上げてしまった。 「木登りして遊んでた子供に言われたくねぇよ!」 「だーかーら!仔猫を助けるためなの!ねぇ、ミーコ」 「ミーコ?」 俺は聞き覚えの無い名前に怒りを忘れて反応してしまった。 「この子の名前だよ。今決めたんだよねぇ~」 女の子は仔猫に話しかけるように喋っていた。 こういう事をするところが、まだ子供だと言うのに… 「適当な名前だな…」 「何でそんなに冷たいのかなぁ~」 「お前が…」 「それにボクは『お前』じゃなくて、佐倉 流歌(さくら るか)って言うお父さんにつけてもらった立派な名前があるんだから!」 「お父さんって…お前もしかしてファザコンか?」 ファザコン──マザコン父親版。父親の考え方や言動に左右されやすい心的傾向。 まあ、そんな豆知識はどうでもいいのだが… 「ち…違うよ…!ただお父さんが好きなだけって言うか…」 「そう言うのをファザコンって言うんだぞ…」 「むっ…そんなことより君は名前なんて言うの?人に先に名乗らせるなんて卑怯だよ」 痛いところをつかれたのか急に話を変え始めた。 というか、何で年下のくせに年上ぶってるんだ… それに、自分が勝手に名乗っただけじゃねぇか…
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