悲しみの春

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「…っ、う゛~」 式が終わり、散らばっていく人達の間を掻き分けて外に出て人目のつかないところまで走ると、私はその場にしゃがみこむ。 ドレスが汚れるとか、そんな事は構ってる余裕はなかった。 胸が搾り取られたように痛み、堪えても堪えても、涙が次々と溢れてくる。 本当に、本当に終わっちゃった…。 この日が来ることは、彼が1年前に「結婚、決めたんだ」とはにかみながら笑ったあの日から分かっていた。 だからこの1年間、心の整理をしようともがいてきた。 …だけど、やっぱり無理だよ…。 忘れられるはずがない。 諦められるはずがない。 ただ、私がどれだけ彼を大好きだったかを思い知っただけだった。 .
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