悲しみの春

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私の名前は永山さゆ。 社会人3年目の23歳だ。 もう少しで4年目に突入するけど。 葵、美樹とは会社の同期短大組として仲が良いんだけど、恋愛観だけは理解できない。 まあ反対に、23歳にもなって彼氏も作らないでいる私の事こそ彼女らに理解できないと思うけど。 居酒屋を出て、地元の駅に着き、人通りが減ったところで涙がまた勝手に出てくる。 私はこの1週間、病気なんじゃないかと疑うくらいすぐ泣くようになった。 ちょっとでも気を抜くと、バカみたいに涙が出てくる。 そして、自分のどうにもならない気持ちをもてあます。 どんなに強く想っても、願い事なんか叶いはしない。 私に幸せなんか、一生来ないのかもしれない。 そんな不幸に酔った様な考えが頭を駆けめぐった後、フラッシュバックのように結婚式の情景が鮮明に浮かんできて、私は立っていられなくなりその場にしゃがみこんだ。 冗談みたいに胸が痛くなり、抱え込む。 …どれくらいそうしていただろう。 少し気持ちが落ち着いたところで、涙をふきながら急いで立ち上がる。 何も考えるな、と自分に言い聞かせながら、帰り道を急ぎ足で歩いた。 .
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