黄巾賊

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劉備は急いでいた。 ようやく町の端の方まで辿りつくと大きくないこの町はすでに黄巾賊がほぼ全体を覆っていた。 劉備も黄色の結い髪止めを見て初めて事の重大さを痛感せざるを得なかった。 「火をかけろ!引き上げだ!」 襲って来た黄巾賊の大将らしき者が大声で部下たちに命じている。 劉備は勇気を振り絞りその大将らしき者に向かって喉の奥から出来る限りの大声を張り上げ 「待って下さい!」 言うと大将らしき者はコチラに顔を向け部下たちもいったん手を止めた。そのまま劉備は続け 「食料はほとんどが税にとられあるのはわずか。それすら奪われたのでは村人たちは飢えで死んでしまいます。どうかお返しを!」 「黙れ!!」 大将らしき者は言うと半分にやけ顔で武器の柄の部分で劉備をつき飛ばした。 「聞いたかお前ら。こいつ食料を返してくれだとよ」 笑いながらいうと部下たちもまたドッと笑いだした。 笑い声の中には「命知らず」やら「自殺志願か」とからかう言葉も混じっていた。
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