第二話

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私は見た。 確かに見た。 見間違いなどではなく、あれはまさしくヒノトリ!! 様々な国で、様々な形で伝えられてきた不死鳥の姿だった。 いや不死鳥とは正しくない。 性格には生き返り鳥だ。 欧米ではフェニックス、中東ではサラマンダ、極東ではヒノトリと、なまえこそ違えどその姿はみな等しく黄色い焔をまとったまさに太陽鳥とも言うべき神々しさだ。そしてその最大の特徴が、一度燃え尽き死した後、その灰から生まれてくるということだ。 それこそ人類が追い求めてきた不死の象徴ではないか。 しかし私が見たあのヒノトリは、そんなものとは程遠かった。 しかしあれこそが、ヒノトリというべきものなのだろう。 それ以外説明がつけれない。 もともと人間の及ばぬ存在であれば、我らの生存を支えている因果関係と前後関係の法則など、とるにたらないものであろうが、それでも我らはそれを頼るしかない。そしてそれによれば、アレはやはりヒノトリということになってしまうのだ。 アレは生け贄を欲している。 命を。 命を・・・! 命を!!!! 私はもう思い出したくない!! 私にとってアレは死以外の何者でもない!! 死せる故に不死などど、それがヒノトリだなどと私は認めたくない!!! 我が息子よ許せ・・・。 父はこのことに耐え切れぬ。 いくら考古学の権威だと言っても所詮は人なのだ。 神の摂理に、神の意志を汲み取ることなど、ましてそれを理解することなどできやしない。 いやむしろしてはいけないのだ。 私達考古学者はそんな禁を犯しているのかもしれん。 私は神の摂理に触れてしまった。故に私も不死にならねばなるまい。 私もヒノトリに・・・。 1997年12月9日 父
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