第二話

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父の・・・最後の手紙だった。 いや遺書と言っても過言ではないだろう。 あれから既に10年以上も経ってしまった。 父はあの日、ヒノトリを見たと言って手紙を認めた日以来姿を消してしまった。 僕は今22歳だ。 僕は考古学の勉強を腐る程やった。せめて父の最後をしるためには、ヒノトリを見た後、父がどう思ったのか知らなければならないからだ。 そのためには考古学の知識がいる。・・・はずだ。 父は時折富士山に登山に行っていた。 だから僕も時折行っている。 僕は今になって父の偉大さを痛感するとともに、父の足跡を辿ることで、だんだん父に近づき、そしてヒノトリへを到達しようとしていた。 いま僕とヒノトリとの距離がどの程度あるのかは不明だが。 父は良く魘されていた。 それも決まって富士山に登った後に。 内容を聞いても教えてくれなかったが・・・ 父に近い僕なら夢をみるかもしれない。 そう思ったが、甘かった。 何度登頂しても夢に魘されるどころか、夢自体見ないのだから。 寝つきが良いのをはじめて悔やんだ。 父は何を求めたのか 父は何を見たのか 父は何を思ったのか・・・ 僕には知る由もないのだろうか。
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