第一章

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次の日、やはり雨だった。相当酷い雨だ。 そんな雨の中、早苗を外に出す訳にもいかないので、俺が早苗の家に行くことにした。 いろいろと予定が狂ってしまった。 天気予報士は異常気象がどうのとか騒いでいたが、どうでもよかった。 ただ、早苗に喜んでほしいだけなんだ。 俺は土砂降りの中、早苗の家へ向かった。 車が羽を生やしたように大きな水しぶきをあげて走っていく。 ……最悪だ。 その水しぶきは歩いている俺に思いっきりかかった。身体の半分がかなりずぶ濡れである。 しばらく歩いていると、何故か違和感のある女性がいた。 この酷い雨の中、傘もささずに、ただ茫然と立ち尽くしている。 その女性は俺以上にずぶ濡れで、それをごく自然なことと思ってるような顔をして行き交う車や、人々を眺めていた。
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