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カリンはマーベルの指差した方のドアに向かった。
船内は至って綺麗だった。(取り敢えずエントランスだけは、だが)
その広い廊下を進み、右手にあるドアの前で立ち止まる。
するとドアが自動的に開く。
中は応接室のようだった。
立派なソファーが4脚、真ん中に置かれた机を取り囲むように置かれている。
(座ってるのも悪い、よね?)
そんな事を思い、カリンは壁にある窓に歩み寄った。
その窓からは真っ暗な闇だけが見える。いや、よく目を凝らすと小さな光が無数に見える。
地球からでは薄汚い空気の壁に阻まれ、こんなにも綺麗に星を見ることができない。
SSの実習で何度も宇宙には出ていたが、今はそれとは訳が違う。
自分の夢を叶える為にここにいるのだ。
(キレイ……)
彼女はぽけーっと窓の外を見続けた。
「宇宙は、お好きかね?」
ビクッ!
カリンは驚いて持っていたカバンを落とした。
その拍子に中の物がゴタゴタと流れ出た。
「あ、す、スミマセン!」
彼女は慌てて持ち物を広い集める。
「いやいや、私の方こそ急に驚かして済まなかったね」
落ち着いた声の男性はカリンの側まで来ると、一緒になって持ち物を拾った。
最後の書類を手にすると彼とカリンは立ち上がる。
「あ、ありがとうございます」
彼に向かって一礼する。
「いや、なんてことないさ」
彼はにこりと微笑む。
男性の頭には2本の雄々しい真っ直ぐな角が生えている。
カウかバッファローヒューマだろう。
全身は茶色の体毛で覆われている。
恐らくこの男性がギャラクティカの社長なのだろう。
「まぁ、座ってくれ。カリン君」
そう言いながら席に座り、右手で自分の正面にあるソファーを手で仰ぐ。
カリンは言われた通りに指示されたソファーに腰かける。
「履歴書を見せてもらったよ」
カリンが座るのを待ち、そう切り出す。
「君の話しもカワムラから聞いた」
「あ、はい!」
「………」
「……?」
しばらく見つめ合う。
「うん。採用だ」
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