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しばらくカリンがその場で惚けていると、部屋にマーベルが入ってきた。
何やら書類に目を通しながら、いそいそと入ってきた。
書類を眺めていたマーベルが目線をあげる。
「きゃっ! ビックリしたぁ。なんであなたつっ立ってんのよ」
部屋の真ん中でぼけーっと立つカリンに驚き、思わず声をあげる。
「あ、す、スミマセン…。なんか話の進み具合があまりにも早くて…」
「あ、あー。まぁ、ウチの社長、そういう人だからねぇ。 マイペースというか、自分勝手というか…」
マーベルがわかるわかる、という風にうなずきながら溜め息をつく。
「ま、時期慣れるわよ。 それより、これからよろしくねカリン。採用おめでとう」
マーベルがにこりと笑い、握手を求める。
「あ、ありがとうございます。えと、マーベルさん」
カリンもその握手に答える。
「いえいえこちらこそ。 それにしても、こんな若くて可愛い子が入るなんてねぇー。お姉さん嬉しいわ!」
そういうなりカリンを思い切り抱き締める。
「もがっ!!」
マーベルの胸に顔面がめり込み、窒息しかける。
「ちょっ、苦しい、でふっへぇ」
「あらゴメンなさい。 こんなむさ苦しいとこにいると、息がつまるのよ。だからあなたみたいな子がいると、つい嬉しくって…」
ぐいっと腰を曲げながら顔を近付け、カリンの顎に右手を添える。
唇が触れそうな程近い。
「ちょ~~っ!! わ、私!そ、そ、そ、そっちの気はちょっと!!」
カリンは慌てて後ろに後退る。
「っぷ! 冗談よ冗談!! あなた本当にウブなのね」
けらけらと笑うマーベル。
「も、もぉ…。からかわないで下さいよ…」
すねた様に頬をふくらます。
「ゴメンゴメン。それじゃそろそろ行きましょ。 社長から聞いたと思うけど、今日は私の部屋に泊まってもらうわ。服とかも取り敢えず私のもので我慢してちょうだいね」
そう言うとマーベルは踵を返し、ドアへと向かう。
「あ、はい!」
そう返事をするとマーベルの後を追う。
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