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ドアを出ると右に曲がり、真っ直ぐに歩いていく。 船内は外見通り、あまり広くないように感じた。   「あのぉ、マーベルさん?」   「ん?なぁに?」   横に並んで歩きながら会話をする。   「質問があるんですけど、この会社って本当に20人も人がいるんですか? 正直それほど広く感じないんですけど…」   この情報は求人表から得たものだ。   「あぁ、求人表見たのね。 あれ、ほとんどでっち上げだから」   マーベルが何の気なしにそう言う。   「へっ?」   カリンは思わず目を丸くする。   「いや、ほら。そう書いとけば人くるかなーっていう社長のはったりなのよ。 実際は、社長含めて男5人、女2人…。あ、オマケがついて4人ね。 この9人がいるわ。あ、あなたを含めて10人になったわね」   最後にニコッとカリンに笑顔を向ける。   「…そ、そんなに人数少ないんですか…」   カリンは半分にしかならない人数を聞き、呆れを隠せなかった。   「あ、ちなみに作業員は男3人だけよ」   マーベルが最後にそうとどめをさす。   「あ、あなたが入って4人ね」   最後の笑顔は意地悪っぽく笑った。   「………」   もうカリンには何も言えなかった。   ただぼんやりとマーベルの顔を見つめていた。   「みんな良い人ばかりよ。よく言えはアットホームな会社ね。それだけは自信あるわ。 …まぁ、問題児もいるけど」   最後の言葉はカリンに聞こえるか聞こえないか、微妙な音量だった。   「もう少ししたら皆集めてあなたの紹介兼、歓迎会やるから」   そう言うと、マーベルはあるドアの前で立止まった。 そのドアのわきには彼女の名前が書かれている。   「ここが私の部屋。しっかり覚えておいてね」   そう言いながらポケットからカードキーを取出し、リーダーにシュッと通す。 するとドアはピピッという電子音を発てシャッと開いた。   「さ、どうぞ」   マーベルは自分が先導しながら部屋へと入る。 部屋は自動的に電気が灯り、部屋の中が照らしだされる。
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