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そして地図を広げる。 どうやらこの船の地図のようだ。   「今はここ、居住エリアの私の部屋にいるわ」   トントンと地図を叩く。   「それでこっちにあるのが食堂よ。それでこっちがバスルーム。ま、すごい狭いんだけどねー」   そう話ながら苦笑いを浮かべていた。   「あ、そういえば私の部屋ってどこになるんですかね?」   「あなたの部屋はここよ」   またトントンと地図を指差す。   「ん?そこって…?」   「えぇ、この部屋の隣。今は物置だけど、もうすぐおばちゃんたちが片付けてくれるから」   「あ、ありがとうございます。でも、それって私も手伝ったほうが…」   「気にしないでいいのよ。そういうのがお手伝いのおばちゃんの仕事なんだから」   マーベルは微笑みながらカリンを見る。  「あなた、本当に真面目な子ね。こんないい子が入ってくれてお姉さん嬉しいわ」 ナデナデ。   カリンの頭を撫でる。   「い、いや。そ、そんなんじゃないですけど…」   少し照れながらカリンは下を向く。   「あ、そ、そういえば!」   照れ隠しの様に話を逸らす。   「今日ここで泊まるんですよね?」   「えぇ、そうよ」   マーベルはニコニコと笑顔のまま頭を撫で続けている。   「あのー、ベッドひとつしかないですよ?」   「えぇ、そうね」   まだ撫で続けている。   「ひとつあれば十分じゃなくて?」   そう言うと撫でていた手をそっとカリンの顎に持って行き、クイっと少し上にあげる。 そしてまたも顔から接近してくる。   ボッ。   またも顔わ真っ赤にするカリン。   「…はわわわ!!」   座ったまま器用にベッドの端まで後退る。 その様子を見てマーベルはケラケラと笑う。   「だ、だから!わ、私はそういう気は無いですってばぁ!!」   軽くパニック状態で手をバタつかせながら必死に言う。 長い耳はぎゅっと閉じられていた。   「アハハハッ! ゴメンゴメン。あなた可愛いからつい、ね」   マーベルが目に涙を浮かべながら笑い転げている。   「マ、マーベルさんは、もしかしてそっちの人ですか…?」   カリンは顔を真っ赤にしたまま恐る恐る聞く。   「んー…。さぁ、どうかしらねぇ」   上半身を起こすと、挑発するような目付きでカリンを遠くから見つめている。   (絶っっ対遊ばれてる…)   カリンはそう半信半疑で思いながらマーベルから目を逸らした。
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