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彼女の乗る船は日本上空にある第3ステーションを出発し、ゆっくりとその進路を衛星軌道上に向けていた。   その小さな連絡船には彼女以外にパイロットのドッグヒューマとAIロボットしかいない。 パイロットと言ってもほとんどが自動操縦となっているので、その態度たるや怠けている様にしか見えない。   (やっぱ安いチケットで手配するべきじゃなかったかなぁー…)   ボロくて小さく、小汚い船内を見回しながら彼女は深々と溜め息をついた。     彼女は今、就職試験の為に進路を向けていた。 地球で職安に行ったさい、ようやく教えてもらえた貴重な一社だった。 紹介してくれた職安の職員によれば、腕がよければ雇ってくれる。そんな会社らしい。(多くの問題があるようだが)   しかし、至って彼女は落ち着いていた。 彼女は自分の技量だけには自信があったからだ。 もちろんそれは知識や技術だけでなく、腕っぷしにも男性に負けない程の自信があるのだ。   見た目、性別、種族を問わずに技量を評価し、宇宙という空間にでた仕事ができる。 この事は彼女の幼い頃からの夢であり、それが今まさに、これから叶おうとしているのだ。 彼女にとっては緊張や不安よりも、その希望の方が何倍も大きく膨らんでいた。     ステーションを出発して1時間程経った時だった。 パイロットのドッグヒューマが正面の窓にちらりと目をやる。   「お嬢ちゃん。もうそろそろ着くからしっかりベルトしな」   そうぶっきらぼうに言うと自分も体を起こし、のそのそとベルトをしだす。   「あ、はい」   彼女も自分のベルトをする。  
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