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プシューッ。     彼女がエレベーターに乗り込むとドアは自動的に閉じ、間もなく床が浮上した。   さすがに彼女も緊張を隠せないでいた。 長い耳を上下にピクピクさせている。   (ここが私の夢の叶う場所)   彼女は先程とは違い、少しの不安と緊張、そして大きな希望を胸に扉が開くのを待っていた。     ポーン。 「ギャラクティカ・エントランスです。お気を付けて御降りください」   少しするとエレベーターの上部から女性の声のアナウンスが流れる。   それと同時にエレベーターの扉が開く。     ウィーン。     扉が開く。     「!! おいガキ!そこどけっ!」   開くと同時に、1人の男が猛烈な勢いでこちらに走り込んでくる。   「へっ!? な、な、何を…」 もちろん彼女には何がなんだか解らず、そのまま目を丸くして立ち尽くす。   「バカ野郎っ!」   ぐしゃ!   「キャッ!」   勢いのついた彼が止まれるはずもなく、彼女とまともに衝突した。 彼女は後ろに、その上に彼が覆いかぶさる形に倒れた。   「いったぁーい! もぉ!なんなの……」   彼女は頭をさすりながら上体を起こす。 と、自分の左胸のあたりに違和感を感じる。   この感じは……手?   恐る恐る自分の上に倒れ込む男を見る。 こういう時は至って冷静なものだ。 まずこの男がヒューマだという事が一番にわかった。耳も無ければ、肌もヒューマのものだった。   そして先程違和感を感じた自分の左胸に目をやる。 そこには彼女の上に乗る男のものと思われる右手が乗っている。     (さわられ…てる……?)     彼女はぽかんとその様子を見ている。   「…いってー。 たくっ、どけって言ってんのによ…。これだからガキは……。 あん?」 彼も悪態を吐きながら上体を起こす。 と同時に、自分の右手に感じる違和感に気付く。     ふにふに。     彼は無意識の内に右手に納まっている小さく柔らかいものを軽く握っていた。   「…うん。まぁ、これからまだ成長するからな。うん。頑張れよ」 彼はうんうんと頭を上下に振る。     「―――っ!!」   バチンっ!!     彼女は何か言うよりも早く右手を振りぬいていた。 彼の左頬目がけて。
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