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「たくっ。いつまで経ってもガキなんだから…」
マーベルは手を腰にやり、やれやれと首を左右に振る
「あ、お嬢ちゃん大丈夫?ケガとかない?」
彼女に気付くと優しい笑顔でそう尋ねる。
よく見ると長いブロンドの髪を頭のてっぺんでまとめていた。着込んでいるスーツの胸ポケットには赤いメガネが差してある。
「あ、はい。ケガは無いですけど…」
彼女はさっきの事が脳裏に蘇る。
ボッ。
またも顔が真っ赤になる。
それもそうだ。産まれて初めて胸を触られたのだ。しかも見ず知らずの男に…。
「フフッ。あらあら、カリンちゃんたら可愛いこと」
マーベルはニコニコと笑いカリンの名前を口にする。
「ハッ!? どうして私の名前を?」
カリンは我に返り、マーベルに聞く。
「あら、ゴメンなさい、紹介が遅れたわ。 私はマーベル、マーベル=テスタロッテ。 パンサーハーフよ。このギャラクティカで受け付け、事務、オペレーターをしてるの。だからあなたの事は社長とカワムラさんから聞いてたのよ」
カワムラさんと言うのは東京の職安にいた男性のことだった。
「そうだったんですか!? じ、じゃあまさかこの人も…?」カリンは倒れている男に目を向ける。
「ええ、ここの作業員のハルイチよ」
「!! あわわぁー! ど、どうしよう!私ったら知らなかったとはいえ思わず…。 ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい!!」
これから勤めようとする会社の従業員に暴力を振ったのだ。普通なら一大事だ。
カリンは意識の無いハルイチに向かって何度も頭を下げた。
「あー、このバカならいいのよ。気にしないでちょうだい」
マーベルはしれっとそう言う。
「で、でも…」
「はいはい。あら、もう時間だわ。それじゃああっちの部屋に入って待っててちょうだいね。社長呼んでくるから」
カリンが何かを言うより早く、マーベルはもう歩き出していた。
右手ではカリンから向かって右側にあるドアをさし、左手ではハルイチの右足を持ちひきずって行った。
その後ろ姿やオーラからは正にできる女というものを感じた。
(カッコいい…)
カリンは素直にそう思った。
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