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俺も腹が減っていたし、断る理由も無いので市民プールと一本車道を挟んで向かい合っているコンビニ行くことにした。
自動ドアが開き、店内にコンビニ特有の音が響く。
「涼しいなー!」
橘はさらに元気になって、ガラス越しにアイスを選び始めた。
俺は週刊誌を手に取り、パラパラとめくる。
これといって好きな漫画があるわけではないが、毎週の立ち読みは習慣になっていた。
ふと顔を上げて店内を見回した。
客は俺たちの他に、立ち読みをしている中年が一人、お菓子コーナーに小学生の少年が二人いるだけだ。
店員は黒縁の顔の三分の一もありそうな眼鏡を掛けた小太りのおばさんが一人、休憩室にいた。
ん?橘はどこいった?
そう思い、俺はもう一度店内を見回す。
橘は唐揚げやポテトが温められているショーウインドの前にいた。
いつもの笑顔がどこにもない。
むしろ緊張した趣で佇んでいた。
何か独り言を言っているようだった。
「スパイシーチキン食いてぇ…」
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