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3月も半ばになろうと言うのに、ひどく寒い日が続いている。
今日などは、空から白いものがフワフワまいおちてきていて、俺は興味もない地球の環境に、思わず「大丈夫か」と言いたくなってしまった。
そんな中、白い空と白くなりつつある大地の間を、一人ふらり ふらりと歩く。
ふらふらと、といっても行く宛もなく、というわけではない。目的地ははっきりしている。
冠婚葬祭用のスーツに、珍しくぴしりとのりのきいたいワイシャツ。
俺としては異例のことだが、アイロンまでかけてある。
こういう式に行くのは始めてだが、服装的には多分これで間違いはないだろう。
まぁ、要するに、そう言うわけだ。
俺の親友を送り出す、そんな日に、春先の雪という異常気象。
不吉だといっていいのか、変わったこと好きなあいつらしい、と言うべきなのか、判断に迷うところではある。
まぁ、ここは一先ず、あいつらしい、といっておこう。
そんなことを思いつつ、俺は口元に笑みが浮かぶのを止められなかった。
あいつ……俺の実にクソッタレで最低かつ最高の親友、田中義春という名の彼は、俺と同い年の28歳で、職業地方公務員といういかにも平凡な経歴とは裏腹に、実に変わった男であった。
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