10人が本棚に入れています
本棚に追加
回想
-age14-
俺はぼんやりと窓の外を眺めていた。
季節は春。
しかし、温暖化の影響か、桜はすでに散り、青い葉が生い茂っている。
今日なんて、空は気味が悪いほど青い。
夏が迫ってきているのだなぁと、そんなとりとめもないことを考えると、途端、眠気がふわりと襲ってきた。
なぜだかこの頃、こういうことが多い。
理由はわからないが、ふとした瞬間、意識がふつりと途切れるように眠りに落ちてしまうのだ。
今この瞬間も、昼御飯時であるにも関わらず、耐え難い程の眠気の波が襲ってきている。
眠い……
吐息のような声で、そう漏らした。
誰も聞いている人間などいないけれど。
俺は一度は広げた弁当を包み直して鞄にしまう。
食欲はあまりないうえに、今は何よりも、眠りがほしい。
俺は、机の上に突っ伏して、目を閉じた。
そうすると、まわりの同級生たちがつむぐ喧騒は、幻のように遠くなっていく。
それに少し気分をよくして俺は眠りに落ちる数瞬前、少しだけ口の端に笑みを浮かばせた。
最初のコメントを投稿しよう!