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「何がご先祖だよ。受け継いでるなら父さんの代で終わってるっつーの。」
昔の先祖が本当にすごかったとしても自分の目で確かめることが出来ないため本当かどうかはわからない。
俺が血を受け継いでることさえ本当かどうかわからず、受け継いでいたとしても代を重ねすぎて薄れ、無くなっていても可笑しくはない。
さらに鬼なんていわば空想の生物が、こんな小さな島で百匹もいたなんて、まずそれ事態が信じがたい。
確かに家には昔、鬼を封じる時に使ったといわれる日本刀が厳重に保管され飾ってあるが、普通の日本刀とあまり見分けがつかない。
だから、こんなことを毎日やってられ…
「あら珀華君じゃない。こんにちは。」
「!!…どうも。」
一人で心の中で葛藤しながら歩いていた時、突然八百屋の帰りなのか手に野菜を持った向かいのおばさんに話しかけられた。
家が向かいにあるためか親とも仲が良く、俺も小さい時から良くしてもらっていた。
「今からお社へ?毎日お供え大変ねぇ。」
ご苦労様と言うかのごとく、おばさんは問いかける。
「いや…日課ですし当然のことですよ、それに鬼が出てきたら怖いんで。」
勿論、そんな風には思っているはずがない。
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