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「ふぅ…今年ももうこんな時期かぁ…」
仕事を終えて帰る途中で通りかかった高校の前。
私が見上げた先にはきれいに咲き誇っている桜の花があった。
桜の咲く季節。
それは私にとっては悲しい記憶の残る季節。
2年前、まだ大学生だった私には付き合っていた彼氏がいた。
私たちは二人とも、地元での就職を決めていて卒業後は遠距離恋愛になってしまうのを覚悟しなければならなかった。
卒業式が終わって、待ち合わせたいつものカフェテラス。
そこでいきなりあの人は切り出した。
「俺達さ、別れよう?」
「え?」
事情をの見込めない私はただ泣くしかなかった…。
そのあと、淡々と話し続ける彼の言葉は覚えていない。
でも、その日私が卒業とともにいっぺんにいろんなものを失ったのは事実だった。
あれ以来、私は恋をしていない…。
あんな思いはもうしたくないから…。
たぶんこのまま終わってしまうんだろうと思ってた。
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