始、思い出

3/5
前へ
/119ページ
次へ
 しばらく歩くと、その目的のものが見えてきた。 それは、土手にたった一本だけある、大きな桜の木だった。 桜の木は、いつもと変わらない姿で、そこに立っている。  淳哉は桜の木の下までやってくると、その根元に腰をかけた。 上を見上げると、桜の木は力強く枝を広げている。 そしてその枝たちは、たくさんのつぼみをつけていた。 しかし、そのつぼみはまだ小さく、花を咲かせるまでには、まだ時間が掛かるように見える。  そんな桜の様子を見た後、淳哉は腕を上げ、体を伸ばした。 そして、そのまま後ろに倒れこみ、土手に体を預けた。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加