始、思い出

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淳哉は左手につけた腕時計を見た。 「まだ時間はあるし、こうやってゆっくりしてもいいか……」  淳哉はそう言って、目をつぶった。  今日は土曜であり、大学は休みだった。 いつもであれば、アルバイトの時間までゆっくり寝ているところである。 しかし、今日は早く起きてしまった。  二度寝する気にもなれず、予定より早く家を出た淳哉の足は、自然とここに向かっていた。 淳哉は毎日の様に、この場所に足を運んでいた。  何故なら、淳哉にとって、ここは思い出の場所であり、約束の場所だったからだ。 「桜花……」  淳哉はその約束の相手の名前を口にした。
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