始、思い出

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こうして目をつぶっていると、今でもはっきりと思い浮かぶ―― 『淳ちゃん。遅いよ!』 怒った姿。 『でも、淳ちゃんならいつまでも待っていてあげるよ』 笑顔の姿。 『あ、照れているの?』 自分をからかう姿。 『淳ちゃんは、私のこと待っていてくれる?』 不安なそうな姿。 『本当に?じゃー約束だよ』 小指を絡め、見つめ合い、重ねた唇。 『……淳ちゃん』 はにかんだ彼女の顔が それらすべてが―― 『淳ちゃん……』 そんな、彼女の声が、淳哉の頭の中で、いつまでも響いていた。
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