見慣れない箱

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「大体は渡したよ。友達あんまりいないしね」 「そっか。友達はこれからいくらでも出来るよ。もう少し、口下手直せばね。顔は可愛いんだから」 恭子は言って、清美の顔を眺めた。 「余計なお世話」 清美は舌を出した。 二人揃って歩く。 身長は二人とも、たいして変わらない。 恭子は162cm。 清美は、それより少し小さいくらいだ。 前方、この大学のシンボル、大きな木の根元に男が立っているのが見えた。 黒いトレーナーに、茶色のジャンパー。 清美よりは小さいが、それでも恭子よりは、大きいはっきりとした目。 サラサラとした髪は、思わず触りたくなる程だ。 容姿端麗。 モデルのようにスラリとした体型。 「嫌な奴がいるね」 恭子は言って、男が気付く前に、立ち去ろうと、清美の腕を引っ張った。 が、時既に遅く、男は恭子に気付くと、笑みを浮かべた。 そして、二人の前に歩いて来る。
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