ポストマン誕生

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2008年リーマンショックと言う名の軋みが音を立て扉を開いた。日比谷では派遣村で難民が温かい寝床と飯…仲間意識を求め、列を作っていた…つまりは派遣切りされた非正規社員を救うため…世間は彼らを救済しようとしていた… 本当に救済してたのかな? まぁウタには今は関係ないよ。ってかウタは、その記事、新聞でみたのだけれど。しかも温かい暖房の効いた鉄格子の奥で。 ウタは訳あって八王子の警察署に2週間拘留されてたよ… やがて…両親の面会…あのガラス越し…プラスチックかもね…で5ミリ位の穴が円上に空いてる、例の面会室だょ。面会時間20分…泣き崩れる母親… ウタを励ます父親… 面会後に年配刑事がウタに言った。長年面会に付き添ってるが、あんな良い両親は中々いないっ…て。 でも皆さん、大袈裟だょ…ウタは、そんなに悪くないよ。200円のアーモンドチョコ窃盗未遂犯なんだから。あっ言っちゃったよ。 そんな馬鹿げた世界で過ごした2週間…4人部屋の中、1人は精神が壊れちゃった…ウタは平気だよ。 ウタは、それらの日々は楽しかったよ。学生時代の合宿みたいな高陽感があったの。 手錠の冷たい感触、傲慢な検察官の眼差し…ウタには上等だょ… ウタはその後、釈放~。あぁコーラがぶ飲みだよ~コーヒーも美味だぁ…酒も! 自由を手に…ってな訳にもいかなかったよ。色々訳があってさ。 兎に角ウタは一月近く実家で休んだし、充電したの。 世界の不況も、ウタを取り巻く環境もガラリと衣替えみたいに変わったよ。 いずれ、逮捕された日々や、ウタが直前まで関わった犯罪適行為を書かなくちゃいけないかな。そう思うよ。兎に角、それは又、別の話しだょ!
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