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「確かにママの言う通り、家族が仲良しであるに越したことはないと思うわ。だけど、子供はいつまでも子供じゃないんだよ。成長すれば恋もするし、いずれは家を出て新たな家庭だって築くかもしれないわ」
「そんなのやだよ。家族がバラバラになっちゃうなんて、わたしイヤだよっ」
ママはそう言うと、ワーッと大声を出して泣いた。
「ママ……あたし、意地悪言ってるわけじゃないのよ。ママにわかってほしいの」
「わからないよ、わからない」
ママは嗚咽まじりにそう言って首をブンブンと横にふった。
「どうしてわかってくれないの?どうしてそんなに家族に固執するのよ」
「だって家族が好きなんだもん。家族はわたしの宝物なんだもん。それに、わたし、知ってるの。バラバラになった家族はもう元には戻らないって」
「そんなことないわ、ママの考えすぎよ」
「だって……わたしのお父さんは、帰って来なかったわ。わたしの頭が悪いから…、わたしなんかが産まれてきたから…、だから、お父さんはお母さんと喧嘩ばかりして。わたしのせいで、いなくなっちゃったの。お母さんは、わたしのことなんか好きになってくれなかった……。頭のいいお姉ちゃんとばっかり仲良しだった。わたし、寂しかったの。ずっと家族が欲しがったの。だから、パパと結婚したとき嬉しかったの。みいちゃんが産まれたとき嬉しかったの。家族が出来て嬉しかったの。わたし、パパとみいちゃんが大好きなのよ。ずっとずっと三人で一緒に居たいだけなの」
ママは言い終えると手のひらで顔を覆って泣いた。
泣き続けた。
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