太陽の章

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やがてママは納得したようにゆっくりとケーキ箱に手を伸ばした。 「……ありがとう……」 ママは小さな声で言った。 トモキくんは嬉しそうに微笑んだ。 「それから……」 ママはそう言うと大きく息を吸い込んだ。 「それから……今までごめんなさい……」 「とんでもないです」 トモキくんは言った。 なんだか照れくさそうな二人。 「二人が仲良くなってくれたら、あたしが一番嬉しいわ。ね、仲良くなった記念に握手でもしたらどうかしら?」 冗談めかしてあたしが言うと、ママがすっと手を伸ばした。 トモキくんは一歩前に進み、ママの手を大事そうに両手で握りしめた。
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