雲の章

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好きだなんて馬鹿みたい。 あたしの何を知っているというのだろう。 大して知りもしないくせに、簡単に好きだとか言う奴なんて信用できるはずない。 恋愛なんてくだらない。 あたしは誰も好きになんてならない。 「みいちゃん、一緒に遊ぼうよぉ」 ドアの向こうでママが甘えたような声を出し、あたしを呼んだ。 「うるさい」 「でも、ひとりだとつまんないよぉ」 「うるさいって言ってるでしょ。あっちに行ってよ」 あたしはドアに向かって枕を投げつけた。 枕は大きな音を立ててぶつかり、ドアの向こうからママの驚いて泣く声が聞こえてきた。 あたしはママの泣く声なんか聞きたくなくて、頭から布団を被って耳を塞いだ。
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