風の章

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「美咲、良かったぁ。あたし達、また同じクラスだよ」 校門をくぐると、親友のメイが駆け寄って来た。 「本当に?」 「本当だよ。さっき貼り紙見てきたもん」 「やったぁ」 「また一年間二人でバカなことやれるね」 「そうだね、メイがいれば心強いよ」 「それからね……」 メイは少し照れたようにうつむいた。 「どうしたの?」 「トモキくんも同じクラスなんだ……」 「本当に?」 メイは恥ずかしそうにうなずいた。 「良かったじゃん」 「うん」 「チャンスだよ。頑張りな」 あたしは去年一年間メイの片思いを隣で見てきた。 「応援するから」 あたしが言うと、メイは満足そうに八重歯を見せて微笑んだ。
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