冬の妖精

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「じゃあ、この写真はなんだ」 蝶を指さす。 見つけたなら、逃がさない限り採取もできたはず。 「まさか逃がしたのか。馬鹿な奴だな‥」 タバコを取り出す。自分なら採取してみせたのに。 「それが‥その蝶から逃げて来たらしい」 「?蝶から逃げるだと。なんだ毒でも持っているのか」 「いや、写真を見る限り、針なんてない」 「そいつに聞かなかったのか?」 「今、病院にいる。よほどショックなのか、口が聞けない状態だ。そのまま、この写真を渡されたから‥」 ローティは、さすがに何も言えなかった。 冬の悪戯の過ぎた妖精、そんなところか。 世界中で一人も採取した者はいない。 ローティは再び心躍った。
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