冬の妖精

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それに、こんなに珍しい蝶だ。 何匹か捕まえたら、きっと高く売れるに違いない。 ローティの中に欲が沸いた。 「おい、その山を教えてくれ。俺は行く」 「そう来ると思った。準備手伝ってやるよ」 その一週間後、冬の蝶を探しに出掛けた。 道に迷わないように、印をつけながら、ゆっくりと雪を掻き分け進んで行く。 雪は止んでいたので、楽に行けた。 時々、木からドドっと落ちる雪が見える。 ここを飛ぶ、冬の蝶は優雅だろうな… そんなことを頭に思い描きながら、目的地まで急いだ。 白以外、色はほとんどない。 きっと見つかるのも早いだろう。 あの特徴的な美しい蝶なら。
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