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「一番美しく、高い花だね?それなら、こっちさ」
奥の部屋へ連れられた。
姉は早く!とせかし続ける。
赤い水玉模様の床、変わった部屋だ。
「何故このお花だけ、別のお部屋なんですの?」
妹は尋ねた。
「何せ、一番美しく、高い花だからね。貴重なんだよ」
お爺さんは、大事そうに、一輪の花を持ってきた。
大きくて、夕日のように赤くて、どの花よりもいい香り…
魅力的なその花は、
「早く私を買って」と言っているようだ。
「吸い込まれそう…本当に美しいお花ね」
「お買い上げかな?お嬢さん」
姉は無言のまま、花の前で動かなかった。
「よほど気に入ったらしい。ゆっくりさせてあげよう」
お爺さんは軽く笑って、妹と部屋から出た。
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