114人が本棚に入れています
本棚に追加
妹は突然、嫌な空気を感じた。
お爺さんの笑顔が、一層楽しそうに見えたから。
「楽しそうですね」
「ん?そりゃ楽しいさ。お茶でも入れよう」
また別の個室へ行った。
紅茶の香りが部屋中に漂う。
「お姉様、遅いわね…」
その時、お爺さんが楽しそうに声をあげて笑った。
「何が可笑しいのですか?」
妹は首をかしげた。
「いやぁ…その花はね‥世界中に一つしかない、私の発明品なんだ。性格の悪い美人を食べて一層、美しくなる‥人食い植物なんだよ。これでまた、悪人が減った…」
「嘘‥!なんて…!」妹はハッとした。
あの部屋へ走った。
ドアを開けると、もう遅かった。
その部屋には、
より一層、赤く輝く美しい花と、床の赤い水玉模様だけが、鮮明に残っていた。
END
最初のコメントを投稿しよう!