風、吹きて

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      4        昼下がり、江戸市ヶ谷で足をふらつかせた男は隣にいる男に支えられながら、おぼつかない足取りで歩いていた。 「佐之助、お前飲み過ぎだぞ」 支えていた男が口を開く。 「うっせぇ! 飲み過ぎていないわ!」 酔っ払った男はふらふらになりがらも、反論する。ちょうどそのとき、脇を通った男の刀と支えていた男の刀が当たった。しかし、それに気付かず、通り過ぎようとしていると、脇を通った男は声を上げた。 「そこの者、しばし待て!」 「なんだ」 男の声に呼び止められると、眉間に皺を寄せて振り向いた。 「今、鞘が当たったぞ」 「そうか。それはすまなかった」 支えていた男は頭を下げて立ち去ろうとした。 「貴様、馬鹿にしてるのか!」 「馬鹿になどしていない」 「それが馬鹿にしていると言うのだ!」 手にしていた柄を抜いて、刀を構えた。
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