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「もう、何で毎朝毎朝、私が来るまでに家から出てないのよ! そのせいで、迎えに来た私が待たされるし」
家から出た瞬間、そう愚痴られた。アルゼは少女の言葉を無視して、歩き出す。
無視されたことに更なる憤りを感じたのか、追い掛けてくる。そして、すぐに追い付かれ、また文句。
「あのね、アルゼ! あんたは私を待たせたの! 意味解る!? それより、何でいつもいつも私が待たされないといけないのよ!」
「ああ、もう、うるっさいなァ! 朝っぱからキャンキャン喚くなよ」
「何ですってェ! キャンキャン喚かせてんのはあんたじゃない! それに、私がわざわざ迎えに来てあげてるのよ!」
少女の赤みがかった茶髪が、歩く度に靡いている。それを眺めながら、アルゼは忌々しそうに呟いた。
「……別に頼んだ覚えはないんだけどな」
「何か言ったァ!?」
「何もいってねぇよ! てか、何で今日はそんなにピリピリしてんだよ? 何かあったのか?」
そう言った途端、少女の歩みが止まった。何だと思い、後ろを振り向くと、何故か震えている彼女の姿があった。
握りこぶしをつくり、怒りに震えている様子だ。身の危険を感じたアルゼは、とりあえず少女から一歩離れる。
「……お、おい、ルーシー? ど、どうしたんだ?」
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