Chapter1 君の名前

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――昨日の正午過ぎ。 「ちょっと、退いてくださーい!!」  何処からわからない声が聞こえた。サッと身構え、何事だと周りを警戒する。  だが、アルゼの周りに存在するのは左側にある高層ビルと、右側にある児童公園だけだ。  どちらも、危険が迫っているような様子はない。 「速くーーっ! 退いてくださーーい!!」  また聞こえた。しかし、今度はどこから発せられた声か、わかった。  信じられないことだが、自分の頭上からだ。  アルゼはまさかなと疑問を捨てきれないまま、上を向くと―― 「ええーっ!? 何でっ!?」  少女が落ちてきている。しかも、尋常じゃない速さで。  眼を疑う。だが、目の前の光景は変わらない。  もう間近に、その少女は迫っていた。 「ああ、もう!」  少女が落ちてきそうな場所に移動し、腕を突き出す。受け止めようと思い、そう動いたのだが、アルゼは重力の凄さを舐めていた。  腕を出した瞬間、少女が落ちてきた。とてつもない衝撃が腕を駆け巡る。  アルゼは屈しそうになった膝に頑張って耐え、少女を懸命に支える。 「ハァハァ…………君、大丈夫?」  無事に支えきった少女を地面に下ろし、アルゼはまずそう訊いた。
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