Chapter1 君の名前

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「はい! 大丈夫です!」  元気一杯の声で答えられた。現に、もう自分の足で立っているし、大した怪我もなさそうだ。  ホッと安心したところに、少女があらっと何かに気づいたように言ってきた。 「もしかしたら、あなたはこの都市の人ですか?」 「……そうだけど?」  都市の人間じゃなかったら一体何なんだよ!?  そう答えたいのをグッと堪えて、静かに問い返す。  少女は見るからに嬉しそうな笑顔を作った。 「なら、わたしを案内してくれませんか?」 「──……はい?」 「だから、わたしをこの都市の重要な場所などに案内してくれませんか?」  正直、断りたかった。  人付き合いはあまり好きな方ではない。クラスメートに一人、抜群にそういうのが上手いやつはいるが、自分はそうではない。  断ろうとしようとした時、少女が自分の手を握り、引っ張った。 「ほらっ、速く速く! 時間はあまり待ってくれませんよ」 「ちょ、ちょっと、待ってくれ」  アルゼの言葉が聞こえてないのか、少女はどんどん進んでいく。  待ってくれないのは君だろうが!  心の中でだけでそう突っ込み、ため息をつきながら、アルゼは少女に引かれるように歩き出した。
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