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ユフィは両手に一つずつアイスクリームを持って、戻ってきた。
アルゼはそれを黙って見ている。内心では色々と突っ込んでいたが。
「はい! あなたの分」
黒いアイスクリームを差し出され、不承不承ながら受けとった。コーンで巻かれた部分を持っていても、冷たさが掌から感じる。
「なぁ、何でこんなに寒いのに、アイスクリームなんか買ったんだ?」
「え? だって、アイスクリームは寒い時に食べた方が美味しいから……」
アルゼは脱力し、冷たいアイスクリームを口に入れた。それは極寒。
冷たさで口内がヒリヒリし始める。正直な話、味なんてわからない。
「歩きながら、食べましょうよ」
ユフィの意見でアルゼは歩き出す。勿論、アイスクリームを食べながら。
口内を襲う微量な痛みに耐えつつ、アイスクリームを食べ終わった時には、既に魔法学園の門の前にいた。
「おっきいですねぇ」
「そりゃあ、都市レルーンの十五歳から、二十歳までの人たち皆が通うんだからな。大きくて当然なんだよ」
ユフィは聞いていないのか、ただ学園に見とれていた。
アルゼはそんなユフィの肩を叩く。
ビクッと身体を痙攣してから、ユフィはアルゼに顔を向けた。
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