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「何ですか?」
「入ってみるか?」
「え?」
「魔法学園の中に入ってみるか?」
アルゼの質問の内容が分かったらしく、ユフィは嬉しそうに頷いた。輝かんばかりの笑顔で見つめてくる。
アルゼはなぜか恥ずかしくなり、顔を背けた。
アルゼは、自分がどうしてああ言うことを言ったのか、解らなかった。
ただ、彼女の喜んだ顔が見たかったのかもしれない。
「あの……早く行きましょうよ!」
「なぁ、ユフィ?」
「はい?」
すぐにでも学園の中に入ろうとするユフィを呼び止める。
小首を傾げ、桃色の髪を優雅に靡かせている。青色の瞳は、真っ直ぐに自分を見てる。
「君は……何者なんだ? どうして魔法学園を見たことがなかったんだ? 君に両親はいないのか? 君は──」
「フフ、質問ばかりですね」
アルゼの言葉を遮り、ユフィは笑った。
「あ……すみません」
「いえ、良いんですよ。取り敢えず、学園の中に入りましょう? 学園を回りながら答えますから」
「わかった。それじゃあ、行こうか」
アルゼが歩き出す。すると、ユフィも小走りで追い掛けてくる。
魔法学園の大きな門をくぐり、アルゼの瞳に見慣れた風景が入ってきた。
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