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魔法学園の中は、一言でいうと壮大だ。門をくぐると、右側には校庭があり、左側には校舎がある。そして、門から真っ直ぐ行くと闘技場がある。
「うわー、中に入るともっと大きく感じますねー」
「そうだね」
アルゼ達はまず校庭に向かった。そこには部活動をしていたり、また生徒達が何人かのグループを作って魔法の練習をしていた。
「あの、どうしてあの人はあんなに必死に魔法を練習してるんですか?」
ユフィが指差す先には、顔を汗だくにして、ひたすら必死に魔法を練っている男子生徒の姿があった。
アルゼは彼に見覚えがあった。記憶の片隅に埋もれている名前を思い出そうとする。
だが、思い出せない。
一人考え込んでいると、近くで誰かの足音が聞こえた。
おそらく、友人の誰かで、自分を見つけて声を掛けに来たのだろう。そう考え、ユフィにどうしようかと話しかけようとした瞬間、気づいた。
ユフィが……いない。
「どこだ、ユフィ!」
「あ、こっちです! こっち!」
ユフィの声がした方向を見ると、そこには先程の男子生徒と彼女がいた。
不機嫌そうな顔で、アルゼを睨み付けている。
アルゼは今ごろになって思い出した名前を頭の中で反芻しながら、男子生徒に駆け寄った。
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