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禍々しい殺気が満ちる漆黒の暗闇。
身が震えるのを必死に我慢して、俺は奴に立ち向かう。杖を持ち上げ、これまでの人生で鍛え上げてきた魔法を使う準備をする。
『まだ……諦めぬのか?』
奴が口を開けた。機械のような身体をもち、二足歩行を可能にした形だ。
「誰が……諦めるかよ……っ。俺は……死んでもコイツを守る」
俺の背に顔を埋めて、震えている愛しい人。
誰でも守るべき物は一つある。それが俺にとって、コイツなんだ。
『人というのは解せぬ。いつも守るべきモノを造り、それを糧にしなければ戦うこともできない。弱い生き物だ』
「それは挑発か? だとしたら無意味だ」
杖の先を奴に向け、魔力を身体の内から練り上げ、魔法の詠唱を唱える。
「ディ・ラルシア・フル・ゼスト……レジェンボマー!」
赤い閃光が空間を疾る。恐るべきスピードで進んでいくそれを、奴は避けきれず胸に当たった。
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