Chapter0 悲劇

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 勝ったと思った。  奴は爆散し、機械の破片がそこら中に散っていく光景か見える。  その筈だった。  俺は奴を楽観視し過ぎだったようだ。 『……この程度か? だとしたら、興醒めだ。我が定めた敵として、お前は間違っていたようだな」  煙が晴れ、奴の姿があらわになる。  ひびなどなかった。それどころか、傷一つなかった。    膝が折れそうになる。もしくは心が折れそうになった。  でも…… 「興醒めで結構。敵として俺が間違っていても結構。けど、俺は負けられない!」 『その女の人間のためにか? まったく、それがお前の力を殺しているとも知らずに……」 「勝手にほざいてろ! ルリ・コウス・ガイア・ゼル……レルトーション!」  杖から発射した暗褐色が漆黒の闇に溶けるようにして消える。俺は杖を左右に二回振った。  相変わらず、奴は何もせずに仁王立ちしているだけ。  そして、最愛の人は泣きながら俺にしがみついてる。杖を持ってない方の手で、その髪を撫でる。 「安心しろって。お前は死なないよ」 「…………ホント? サティ……死なない?」 「うん、サティは死なない。だから、安心して」
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