約束

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『大丈夫だ、メルシア。お前の怨み、俺が晴らしてやる』  俺は、できるだけ柔らかく優しい声音でそう声を掛けた。 『ほ、本当……?』 『メ、メルシア様、何を……へほっ!?』  手を向けたそこから力を放ち、猿を黙らせる。  メルシアは潤んだ瞳で期待の眼差しを向け、そして俺は、その期待を預かるように力強く頷いた。 『だから、ここを開けてくれるか?』  こうして俺は、抜け出す事に成功した。  手首を固定していた鉄の塊は俺が自分で壊した。  なぜなら“がた”がきていて簡単に外せたからだ。
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