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『嫌なものは嫌です!』
首を横に向けて、はっきりと拒否するメルシア。
『そんな我がままをおっしゃらずに』
と、困り顔で、メルシアの座る椅子の横から言い聞かせているのがマーサ。
マーサはメルシアを捜し回ったあげ句この部屋へとたどり着き、途中から参加したのだ。
紺の高級そうな衣服を身に纏っている事から、どうやら偉い立場にある者のようだ。
左脇腹部の光沢を放つ金色の紋章がその事実を示している。
巨漢の荒くれ者を想像していただけに俺は拍子抜けしてしまった。
マーサは体格はいい方だが女なのだ。年齢は4、50と俺の倍を上回り、子供のように首を振るメルシアに比べれば常識がある方だと思う。
『嫌なものは嫌です!』
『仕方ないじゃございませんか』
そして、国の上に立つであろう1人と、その補佐に徹するこの2人が口論している理由。あまりにも馬鹿げて説明すら面倒になってくる。
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